停滞期の起こる原因(2)〜1000kcal以下のカロリー制限をされている方の場合〜
1日の摂取カロリーが1000kcalをきるような低カロリーダイエットを行っている方は、他のダイエット法を行っている方よりも早く停滞期が訪れる可能性が高くなります。極端な摂取カロリー制限を行うと、カラダは非常事態であると判断し、その苛酷な環境に適応しようといろいろな機能が作動するためです。
ホメオスターシス(恒常性)
生体がさまざまな環境の変化に対応して、内部状態を一定に保って生存を維持する現象。また、その状態。血液の性状の一定性や体温調節などがその例。動物では主に神経やホルモンによって行われる。 三省堂提供「大辞林 第二版」より
ヒトは飢えや寒さ暑さなど、どんな厳しい状況におかれても生命を維持するために適応していこうという能力が機能します。人類はこの能力のおかげで今の時代まで生き抜いてくることができました。このホメオスターシスといわれる適応能力は、カラダが非常事態であると判断した場合に作用します。
摂取カロリーが1000kcalをきる極端なカロリー制限や短期集中の急激なダイエットを行った場合、カラダは栄養不足の状態に陥ります。するとカラダは非常事態であると判断、生命活動を維持するためのエネルギーを蓄えるため、体内で栄養を吸収、貯蓄しようと働きます。そして基礎代謝が節約モードに入り、エネルギー消費量をも減らそうとします。この時点でカラダはダイエットをする前よりも脂肪を吸収しやすい状態になっています。
フィードバック機構
システム制御の基本的な考えの一。あらかじめ設定された目標値に対しそのずれを検出して、目標値に近付けるように系を制御し、系の安定を図ること。三省堂提供「大辞林 第二版」より
さらに、カラダは脂肪の消費量をも節約しようとします。 ここで忘れてはならないのが体脂肪の役割です。 体脂肪の役割は生命にとって必要不可欠で、飢餓に備えエネルギーを貯蔵し、体温保持の調節、たんぱく質が減らないように節約するなど大切な役割を担っています。 摂取カロリーが1000kcalをきる極端なカロリー制限や短期集中の急激なダイエットを行った場合、カラダは栄養不足の状態に陥ります。するとカラダは非常事態であると判断、つまり現在、飢餓状態であると判断します。
そのため、飢餓に備えエネルギーを貯蔵する体脂肪を一定量に保とうとホメオスターシスが働きます。そしてこのホメオスターシスはフィードバック機構により維持されています。フィードバック機構が作用すると、体脂肪量を元に戻そうと、脂肪の吸収能力を高め、脂肪の消費量を節約するように作動します。
つまりフィードバック機構とは、常にカラダを一定の状態に保って安定にしようとするシステムのことです。
このフィードバック機構によるホメオスターシスの一連の調節が停滞期もしくはリバウンド現象としてカラダに現れるのです。 「停滞期」・「リバウンド」というものは「食べてくれ!栄養をくれ!脂肪を増やせ!」とカラダが発するライフサイン。つまり、体脂肪量を一定に保つために脂肪の吸収を高めてエネルギー消費量が下がる状態が停滞期なのです。カラダがそれまでは健康状態であったからこそ発することのできるサインともいえます。 そのため、このライフサインを発している「停滞期」に、さらなる摂取制限をしてしまうと大変なことになってしまいます。
レプチン:肥満遺伝子
レプチン:肥満遺伝子 ラテン語 Leptos=「痩せる」が語源
レプチンとは、1994年に発見された肥満遺伝子で、肥満は遺伝することがわかってきました。 レプチンは脂肪細胞から分泌される食欲抑制物質で、大脳の視床下部にある満腹中枢に作用して満腹感を知らせます。さらに白色細胞と褐色細胞に作用しその結果、基礎代謝が上り、余分な脂肪の蓄積を防ぎます。またマウスの実験ですが、レプチンは甘いものへの欲求を抑制している可能性があるという報告もあります。
肥満の人は、血中のレプチン濃度が高いのが普通です。 肥満はレプチンの分泌異常や感受性の異常、レプチンの情報伝達系の異常なども原因にあげられています。 では、停滞期とレプチンにはどのような関係があるのでしょうか。
レプチンは脳の視床下部に作用して、食欲の調節とエネルギー消費の調節を行っていますが、この一連の働きはフィードバック機構によって調節されていると考えられています。 フィードバック機構とは常にカラダを一定の状態に保って安定にしようとするシステムのこと。 レプチンは体重を一定に保つという重要なフィードバック機構でシグナルの役割を果たしています。
短期集中の急激なダイエットや極端なカロリー制限のダイエットを行うと、脂肪細胞に吸収される脂肪の量が急激に減少するため、レプチンの量も極端に減少します。レプチンが極端に減少すると体重を一定に保とうとするフィードバック機構が働いて、食欲を抑えることができなくなり、ダイエット以前の食事の量でも満足感が得られなくなります。 そして「食べたい」でも「痩せたい」という過度のストレスが加わり、悪循環に陥ってしまいます。
これが停滞期にみられる過食の原因になります。
このダイエットの停滞期に起こる空腹感はカラダの生体反応のため有効な手立てはありません。あるとするなら予防策として、摂取カロリーが1000kcal以下をきるような無理なダイエットはしないこと。これにつきます。
レプチンは食欲調節やエネルギー代謝だけではなく、生殖能力や骨量にも重要な役割を担っているため、まだまだ解明しなければならない点が多くあるようです。また、フィードバック機構という複雑な機能でカラダを調節していますので、ダイエット目的で外因的に何かをするべきものではありません。レプチンに関してはあくまでも知識として知っているという程度にしておきましょう。
水分の変動
これは停滞期ではありませんが、1000kcalをきる極端な摂取カロリー制限を行っている方の初期にみられる現象です。ただ、これを停滞期と勘違いしてそのまま間違ったダイエット法を続けてしまうことがよくあります。
とくに体重の重い方は、食事療法のみに頼る極端な摂取カロリー制限のダイエット法を行った場合、1週間で2〜3kgほど簡単に体重が落ちることがあります。これは、体脂肪ではなくて体水分が落ちるからです。 そのため、2週間目を過ぎるあたりから急に体重の減少が止まります。カラダが脱水症状になるのを防ぐために働きだすからです。
もうこの時点でダイエット方法は間違っています。この水分の変動は体組成計で毎日測定することでおおよその推測ができるのですが、これを停滞期と勘違いして、そのままダイエットを続行してしまうと、太りやすい体質になり痩せることの難しいカラダをつくる結果となります。
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